チョコレートのテンパリング

■クーベルチュールチョコレートについて
クーベルチュールは、カカオバターの含有量が高い製菓用のチョコレートのことです。
油脂分が多いことで流動性がよく、溶かしてテンパリング(温度調整)などの作業がしやすいことや、
カカオの風味が強いという利点があります。

クーベルチュールチョコレートは、国際規格では「総カカオ固形分35%以上、カカオバター31%以上、
無脂カカオ固形分2.5%以上、カカオバター以外の代用油脂は使用不可」など細かい規定があります。
日本ではこの規定はありませんので、
国産チョコレートに「クーベルチュール」という名称が使われていても製菓用に適しているという意味あいだけで、
輸入品に比べて品質に差がある場合もあります。国産のクーベルチュールを使う場合は表示を確認し、
必要であればカカオバターやカカオマスを加えることで油脂分や風味を補うとよいでしょう。

カカオマス
チョコレート原料のカカオ豆を焙煎し、殻や胚芽をとり除いたもの(カカオニブ)を細かく砕き、更に練りつぶしてペースト状にしたもの。
カカオマスを固めたものがビターチョコレート。
ちなみにホワイトチョコレートはカカオマスを全く使わないために白くなるのです。カカオマスが入っていないので苦みがなく、
ミルクの味と色の白さが生かされているのがこのチョコレートの特長です。

カカオバター
カカオ豆、カカオニブ、カカオマスから得られるカカオの脂肪分


■テンパリングとは
チョコレートを扱う上でよく耳にする言葉「テンパリング(tempering)」。
これは「温度調整」のことです。

チョコレートの主成分である、カカオバターを構成する何種類かの油脂分の融点が異なるため、溶かしたチョコレートをそのまま冷したのでは、分子の配列が崩れ、
口融けが悪く、光沢の無いブルーム(白っぽい粉をふいた状態)という現象を起こしてしまいます。それを防ぎ、溶かしたチョコを固めて使用する場合、テンパリングという作業を通してココアバターの分子を揃える必要があります。
市販されているチョコレートで、テンパリングの必要の無いものもありますが、やはりその美味しさには、格段の差があります。
テンパリングしたチョコレートの使用に適した温度は30〜32℃。成功すればつややかで、
やわらかい口当たりのなめらかな口溶けのチョコレートが仕上がります。


■テンパリング その科学
市販の板チョコが暑さで溶けてしまい、冷蔵庫で固めた経験のある方は多いと思います。 そんなチョコレートには必ずといっていいほど白い斑点のような模様が浮かんでいるでしょう。。
これはチョコレートに含まれるカカオバターが熱によって溶けてしまい、再度結晶化する際により密度の粗い結晶構造へ変化したために起こるのです。 カカオバターは複数の脂肪酸から構成され、その結晶構造には約4種類があります。

カカオバターの結晶構造は次の4種類。

γ型  融点16〜18℃
α型  融点21〜24℃
β’型 融点27〜29℃
β型  融点34〜36℃
温度に幅があるのは産地の気温によります。
融点の高いものほど安定しており、密度も高いといいます。

テンパリングの目的はカカオバターの各結晶構造の融点の差を利用し、結晶構造を全てβ型にすることです。

工場などで大量に扱う場合、まずチョコレートの温度を40℃以上まで上げて完全な液状にします。
次に撹拌しながら恒温曹で30℃を保つ。 これによってβ型のみの結晶を析出させることができるのです。

ただしこの方法では大変時間がかかるため、家庭で少量を扱う場合は別の方法を使います。

温度を40℃以上まで上げるまでは同じですが、これを撹拌しながら25℃前後まで下げ、
β型と一部のβ’型の結晶までを一気に析出させます。
そして再度30℃にまで加熱してβ’の結晶を溶かすことでβ型のみを残す・・・・という工程です。


テンパリングの方法
a.ボウルで溶かしたチョコレートの温度を上下させて行う一般的な方法
b.細かいフレーク状のチョコを作り、溶かしたチョコに加えて混ぜながら温度を下げていくシード法(種付け法)
c.大理石の台を使った本格的テンパリング(大理石法)

基本は全てチョコレートの温度を40℃〜45℃にして溶かし、25℃前後まで下げ、適温である30〜32℃に上げるという工程です。

cの大理石法は少し難しいので、ここではaとbの方法を紹介しましょう。

1、クーベルチュールチョコレートを細かく刻んでボウルに入れる。
  この時、注意することは、ボウルや包丁の水気をきれいに取っておくこと。
2.(1)のチョコレートを湯せん(60〜70度)で溶かす。
  ボウルの中心から外側に木じゃくしでゆっくり混ぜる。
  ボウルの淵に付いたチョコレートも中心に混ぜ込むようにする。
  (ボウル内のチョコレートの温度を一定にするため)
  チョコレートの中に水や湯が入らないように細心の注意を払う。
3.bのシード法(種付け法)では、
ここで薄く削ったチョコレートを加えて温度を落とします。
3.cの場合、チョコレートが溶けたら
水を入れた別のボウルに、チョコレートのボウルの底を当て、木じゃくしでゆっくりかき混ぜ、
チョコレートの温度を下げていきます。
  
4.温度計があればいいが、ない時は木じゃくしから伝わる重さ
(少しトロっと重たくなる感じ)の感覚を覚えておくとよいでしょう。

  スイートチョコで27〜28度、ミルクチョコで25〜26度、ホワイトチョコで24〜25度まで冷す。
5.所定の温度まで下がったら、再びボウルを湯せんに2〜3秒つけ、
  すぐに湯せんからボウルを外し、よくかき混ぜてチョコレートの温度を2〜3度上げます。
6.少し(5秒ほど)時間を置いてボウル内のチョコレートを素早くよく混ぜます。
7.木じゃくしについた少しのチョコレートをスパチュールに付けてみる。
ツヤのある状態で固まればテンパリングは成功。
  
  固まらない時は、失敗なので、(2)〜(6)の作業を繰り返す。(何度でも出来ます)
作業にかかります。
型に流したり上がけしたり、写真のようにパイピングしたり・・・
いろいろ試してください。

 これで作業に掛かれますが、
 チョコレートの温度はほうっておくとすぐに下がり、固まってくると作業がしにくくなるので、
 そんな時は(5)の作業を繰り返す。その時、湯せんの温度は60〜70度に保っておきます。もちろん温度は上げすぎないこと。


テンパリング温度一覧
一般的なチョコレート(大東カカオなど)
溶解温度 下降温度 調整温度
スイートチョコレート 50〜55℃ 27〜29℃ 31〜32℃
ミルクチョコレート 45〜50℃ 26〜28℃ 29〜30℃
ホワイトチョコレート 40〜45℃ 26〜27℃ 29℃


テンパリングの注意点

〇チョコレートに水は厳禁。湯煎にかける時も湯気や水蒸気は絶対入れないこと。ボウルや包丁の水気をきれいに取っておくこと。
〇作業に適した室温は18〜22℃。空調の風が直接あたるような場所は避けましょう。
〇型に流したり上がけした後、急激に冷やさない(チョコレートがひび割れる)
〇60℃以上にまで温度を上げると、カカオバターそのものが変質してしまい固まらなくなってしまうので
直火にかけたり電子レンジで加熱することはしないでください。
〇チョコレートはの量は少ないと難しいです。最低でも300gは必要。


■クイズ テンパリング・プロのコツ
テンパリングの方法4で温度を見るとき(下がった状態ネ)プロは体の温度に敏感な部分にチョコレートをつけます。
さて、その部分とはどこでしょうか?

1.指先 2.手の甲 3.下唇の下 4.足の裏










■クイズの答え

3の下唇の下側

だれや!足の裏なんてゆーてるひとは(笑) (誰もゆーてへん

チョコレートの温度を下げた状態、27℃ですと「ひえ!」という感じがします。
下唇の下側というところは指先よりも温度を敏感に感じられるんだそうです。
「え?口の中じゃないの?」と思う方もおられるでしょう。口の中や舌は、その逆で体の中で温度を感じにくい場所なんです。
だってそうじゃなかったら冷たいアイスクリームやアツアツのラーメンなんて食べられないでしょう?

余談ですが
少し肌寒くなってきてケーキ屋さんにチョコレートが並ぶころ
下唇の下が黒くなっているパテシエがいたら、それはヒゲかチョコレートを作っているかのどちらかだと思っていいでしょう。
チョコレートの作業はテキパキしなければならないので、拭き取るのをついつい忘れてしまうです(あ、わしだけかw)